新聞やインターネットでも記事があったので、ご存知の方も多いはず。
本日は「風疹」についてです。
発生動向調査における
「感染症の多い少ない」は、例年どれくらいの数で今年はどれくらいの数なのか、“比較”という尺度になります。昨年同時期は3例が、今年はすでに51例、これは兵庫県での数字。5月12日の朝日新聞での記事です。これは誰が見ても、かなり患者数がいることが実感できる数です。
打つ手なしなのではなく、ワクチンが存在します。MRワクチン(麻疹・風疹ワクチン)が大事です。
ワクチンを接種したかどうか、既往があるのか、母子手帳で確認してください!!!
というのですが、20-50代の男性は「母子手帳ってなに?」「そんなのもうないよ」「親の記憶ももう曖昧」。・・・やはりワクチン、ということになります。
「防げたはずの感染症」というのはたいへん当事者やご家族がショックを受けますし、風疹のように赤ちゃんに障害が残ったとか、死んでしまったというような場合、この怒りや悲しみはさらに大きなものとなります。
制度のはざまで免疫の不足している「20-50代男性」でブレイクする傾向がすでに指摘されていますので、対策としてこの年代へのワクチン啓発をするなどが重要です。
生殖年齢女性に感染すると、先天性風疹症候群の問題が起きます。
自分の感染予防だけでなく、妊婦さんや赤ちゃんを守るためにも、社会としてワクチンの接種率が高く維持される必要があります。
中学や高校の性教育ではHPVワクチンだけでなく、妊娠する前に終わっていないといけないワクチンがあることを説明する必要があります。ちなみに、妊娠中はワクチン接種できません。
記事では「妊婦や妊娠を考えている女性に、特に注意を呼びかけている。」とありますが、妊婦に何を呼びかけているのかはわかりません。このあたりが極めて日本的か・・。
風疹は、臨床症状から麻疹との類症鑑別が難しく、不顕性感染(症状が出現しないまま感染が成立している)や典型的な症状をみない症例も多いため、麻疹を疑った際は、風疹も念頭において血液検査(IgM)の実施が重要になります。
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