糖尿病のコントロール(誤解を承知で敢えて簡単に言えば、おおむね血糖値が正常に保たれていること)が悪ければ、糖尿病の合併症は進行し、コントロールが良好であれば進行はしないか、より軽度のものに留まるということは、よく知られた事実です。
ただ、そのコントロールの状態が、どの程度まで良ければ、合併症が完全に起こらなくなるのか、と言う点については、まだ色々と議論のあるところです。
糖尿病の合併症には、小さな血管に起こる、
糖尿病性網膜症(患者さんからは「糖尿病になると失明するんですよね」と言われるやつです。当らずとも遠からず。)
糖尿病性腎症(患者さんからは「糖尿病になると透析になるんですよね」と言われるやつです。当らずとも遠からず。)
糖尿病性神経症(患者さんからは「糖尿病になると足が腐るんですよね」と言われるやつです。だいぶ遠い・・。)の、所謂3大合併症と、
より大きな血管に起こる、動脈硬化性の変化による、心筋梗塞や脳卒中などがあります。
このうち、動脈硬化による合併症は、糖尿病のみが原因ではありません。高血圧や高脂血症などは有名なところです。動脈硬化には様々な原因がありますが、糖尿病はそれを強力に進行させる要素である、ということです。
一方で、いわゆる3大合併症は、原則として糖尿病がなければ起こりません。従って、糖尿病でなければ、あるいは糖尿病が完璧にコントロールされていれば、3大合併症は起こらない、ということになる訳です。
3大合併症は全て、患者さんの身体に深刻な影響を及ぼします。糖尿病の悪化は、患者さんにとって合併症が発症するまで自覚できません。当院でも糖尿病の治療は積極的に行っていますが、患者さん自身が糖尿病の怖さを実感できないため、なかなか「治療の動機づけ」が難しいのが現状です。
このブログを読まれた方は、一度主治医の先生とも、改めて相談してほしいと思います。自分の糖尿病の状態は、どの程度のものか。
次の機会に、糖尿病と腎症についてお話します。
それではみなさん、よい週末を。