梅雨と台風のダブルパンチで、今週はかなりの雨が降りました。週末は天気もよく、
日曜にはお出かけの予定です。
6月中旬から、子宮頸がんワクチンのCMを目にされる方も増えたと思います。相武 紗季さんがCM出ています。私としては、以前の仁科さんの方がしっくりくるのですが・・。
さて、本題です。現在、2つのワクチンが認可され、中学生~高校2年生までを対象に、奈良市では一部自己負担で公費接種となっています。
単純な疑問として、どちらを受ければ良いかということになります。残念ながら、当院には未だにそのような問い合わせはなく、患者さんに説明する機会がないのが残念です。
日本で先に認可されたサーバリックスは、アジュバント(不活化ワクチンに使われるアジュバントとは、生体内に抗原(死菌)を投与する場合、抗原に対する免疫を増強するという役割を果たしています)が良くてワクチン接種後の抗体価が長く続くとアピールしていますし、昨年認可されたガーダシルは、2価でなく4価で幅広くカバーでき、かつ尖圭コンジローマの予防にもなるとアピールしています。
ただし肝心の子宮頸がんの予防については、どちらも変わりがないという振れこみです。“振れこみ”と敢えて表現するのは、いま中学生を中心にこのワクチンが接種されているわけですが、子宮頸がん発症を予防するというアウトカムを検討するには、どう考えても今後20年近くは待たねばならないからです。20年先には、「やっぱり効果なかったので止めます」なんてこともあるかもしれません。
しかし、理論上は効果がかなり期待できるということと、副反応に比しておそらく受けるであろう恩恵を天秤にかけた場合に、接種しないという選択があまりにも後ろ向き、と考えます。
“ワクチンの大原則”として、ワクチンで予防できる疾患は、可能な限り使用するという観点からは、接種しないという選択はおすすめできません。
2つのワクチンは、まさに、源平合戦の様相ですが、現在の段階で言えることは、いずれのワクチンにせよ、スケジュール通りに接種するということ。さらに、ワクチンを過信せず、“自己防衛”のための教育、がん検診の啓発を、我々医療従事者も積極的に行うことが重要です。