先天性風しん症候群(congenital
rubella syndrome:CRS)は、風しんウイルスが胎内感染することによって生ずる疾患です。
以下、国立感染症研究所 感染症情報センターによる報告の一部抜粋です。
2012年の風しんは、2008年以降で最も多いペースで報告されている。感染症発生動向調査における特徴は、子を持つ機会の多い年代の成人を中心に発生していることである。特に男性では9割近くが20歳以上の症例である。これは、複数の自治体から報告されている職場や学校などでの成人男性を中心とした集団発生の反映と考えられる。また、職場などにとどまらず、地域での流行が懸念されるところもある。風しんは、一般的には数日で治癒する予後の良好な感染症だが、特に問題となるのは妊娠中の女性への感染である。実際に今年は、職場で感染したと思われる男性から、その妻や子へ感染したと思われる症例の報告があった。
「年齢/年齢群別の風疹抗体保有状況~2010年度感染症流行予測調査より」の結果から、風しんHI抗体保有率が成人男性で低いことが示されており、風しんを発症した成人男性から妊婦への感染によるCRS発生が懸念される。
わが国では風しんワクチンは1977年から女子中学生を対象に定期接種に導入されたが、1995年から1~7歳半の男女と中学生の男女が定期接種の対象となり、2006年4月1日からは第1期として生後12~24カ月未満の者に、第2期として5歳以上7歳未満で小学校就学前1年間の者に麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)が定期接種として実施されている。さらに2008年4月1日から5年間は、第3期(中学1年生相当)と第4期(高校3年生相当)の定期接種が始まり、MRワクチンの2回目の接種機会が確保された。風しんおよびCRSは予防接種により予防できる疾患である。これらの定期接種対象者はもちろん、将来妊娠を望む女性とその夫や同居家族などの成人も積極的にMRワクチンを接種していただきたい。
CRSは先天性心疾患,高度難聴,白内障などが多く見られるといい,母親が無症状でも不顕性感染で発症することがある。また,風疹の流行年にはCRSの発生増加も見られること,以前はそれによるCRS発症を危惧した人工妊娠中絶の増加も見られたことがあったという。
20代後半以上の方は、MRワクチン4期を接種していない可能性が高いです。風疹と同時に麻疹を予防することもおすすめします。このためMRワクチン(風疹と麻疹の2種混合ワクチン)を接種すべきと考えます。
写真は家で栽培しているプチトマトです。
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