排尿障害とは、尿意(おしっこをしたいと感じる)の回数が多くなったり(頻尿)、少なくなったり(神経因性膀胱など)おしっこが出にくくなったり、尿失禁をしてしまったりするなど、排尿に関係するトラブルの事です。
特に症状として多いのが頻尿で、男性の場合は前立腺肥大が多く見られます。前立腺は男性にしかなく、膀胱のすぐ下に尿道を取り囲むようにあります。前立腺は、内側の内腺を外腺が取り囲むような構造をしています。年齢とともに内腺が肥大したものが前立腺肥大症で、前立腺癌は外腺に出来ます。
前立腺肥大症では
①肥大した内腺が尿道や膀胱を刺激する事で、夜間などに頻尿になる『夜間頻尿期』
②肥大した前立腺のせいで尿道が圧迫されて膀胱をカラに出来なくなる『残尿期』
③道がつぶれて膀胱がパンパンになりチロチロおしっこが漏れる『奇異性尿失禁』
という順で症状が悪化していきます。ひどい場合はおしっこが出なくなって、尿閉という状態に至るものもあります。
腎不全や膀胱破裂(1000-1500ml以上溜まると危険)などといった事にもなりかねません。診断は、問診に加え、直腸診や超音波、場合によってはおしっこの出方をみる検査で行います。軽度のものは自律神経に作用する薬や、男性ホルモンを抑える薬を用います。
診断に際しては前立腺ガンとの鑑別が重要になってきます。前立腺がんは男性にしか起こり得ないガンですが、欧米では成人男性悪性腫瘍では最も頻度の高いものです。多くは発症早期には自覚症状がなく、PSA測定のスクリーニングよって発見されます。タレントの間寛平さんも、この検査で前立腺がんが発見されたと聞きました。
PSAは腫瘍マーカーですが、癌を発見できる腫瘍マーカーとして珍しい存在であり重宝されます。特に50歳以上の男性には全員にお勧めしたい検査です(実際に、当院ではお勧めしています)。
前立腺ガン自体は悪性度の高いガンではなく、早期に発見して治療すれば根治が期待できます。治療は切除や放射線療法に内分泌療法(抗男性ホルモン療法)を組み合わせて行います。
比較的見られるガンで早期の自覚症状に乏しく、早期発見で治療効果の高いガンですからPSAの測定は有用だと言えます。
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