高血糖や高血圧はそれぞれ単独でもリスクを高める要因ですが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスク重積状態を「より早期に把握」しようという試みが考えられてきました。
このようなリスクの集積は、偶然に起きるのではなく、何らかの共通基盤に基づくと考えられています。日本では特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目され、腹部肥満=男性型肥満ともいわれている上半身型肥満=リンゴ型肥満に対して注意が呼びかけられています。
特に日本人は民族的特徴から、米国人よりこのメタボリックシンドロームに悪影響を受けやすいとされています。
2008年4月から始まる特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)では、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行う事を目指し、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に健康保険者に特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づけました。5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者には財政的なペナルティを課す事によって実行を促します。厚生労働省は、 中年男性では二分の一の発生率を見込むなど、約2000万人がメタボリックシンドロームと予備軍に該当すると考えており、これを平成24年度末までに 10%減、平成27年度末までに25%減とする数値目標を立てています。
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