〒631-0062 奈良県奈良市帝塚山1丁目1-33 TEL:0742-41-8833

文字のサイズ変更はこちら文字のサイズを【小】に変更文字のサイズを【中】に戻す文字のサイズを【大】に変更


肺炎球菌ワクチンと中尾彬と加賀まりこ

肺炎球菌ワクチンと中尾彬と加賀まりこ (2011年10月30日 日 07:35)|病気|

どこかの誰かがこの文章を読んでいたら。
まず「ありがとうございます。これからも見守ってください。」と言いたいです。いままでのブログは更新することに必死で、感謝の気持ちを伝える余裕がなかったのです。

さて。成人肺炎球菌ワクチンの予防効果を初めて証明。しかし、中尾彬と加賀まりこにはかなわない・・・。

肺炎球菌ワクチンを啓発するCMが放映されているらしいですね。昨日父から聞きました。「毎日のように見るで」と。
当院でも同ワクチンのポスターを掲示しています。
最近、肺炎球菌ワクチンの問い合わせや質問が多いなぁと思っていたら、実はCMが存在していたと聞きました。ビックリするとともに、タレントの力を思い知らされました。

以前からワクチンには関心があり、同ワクチンもかなりの以前から患者さんに推奨してきましたが、反応はイマイチ。高額で自費診療ということもあり、こちらも積極的にすすめにくかったのです。

ところで、まじめな話に。第84回日本感染症学会から、「高齢者施設入所者1006人を対象にした無作為化比較試験」ということで、国立病院機構三重病院呼吸器内科の丸山貴也先生がこのような研究結果を明らかにしています。

おおまかな内容はといいますと・・・。
23価肺炎球菌ワクチンの接種は、高齢者施設の入所者の肺炎の発症を抑制し、
死亡率を低下させる。

同氏らは、複数の高齢者施設の入所者1006人(平均年齢84.7歳)を対象に、二重盲検無作為化比較試験を実施。
502人に23価肺炎球菌ワクチンを、504人にプラセボとして生理食塩水を筋肉注射し、約3年間追跡した。
主要エンドポイントは肺炎の発症と肺炎球菌性肺炎の発症、副次エンドポイントは
肺炎による死亡、肺炎球菌性肺炎による死亡とした。

肺炎発症の評価は、胸部単純X線写真で肺炎と合致する新たな陰影を認めること、
尿中から肺炎球菌抗原を検出すること、血液培養または胸水から肺炎球菌を検出することなどを条件とした。

結果。
対象者の年齢、活動性、基礎疾患、BMI、インフルエンザワクチンの接種状況などにおいて、両群に差は認めなかった。
3年間の追跡の結果、プラセボ群で肺炎を発症したのは104人(20.6%)で、
そのうち肺炎球菌性肺炎は37人。
それに対し、ワクチン投与群で肺炎を発症したのは63人(12.5%)で、うち肺炎球菌性肺炎は14人。

ワクチン接種により、肺炎球菌性肺炎の発症を63.8%、全肺炎においても44.8%抑制した、と。
「全症例を評価できたわけではないが、肺炎の発症とともに、重症化を抑制している可能性もある」と丸山氏は述べています。

副次エンドポイントである死亡については、プラセボ群では肺炎球菌性肺炎を発症した37人のうち13人(35.1%)が死亡したのに対し、ワクチン接種群で死亡者はいなかった。
ワクチンの接種は、肺炎球菌性肺炎による死亡を有意に抑制することが明らかになった。

また、すべての肺炎での死亡率を見ると、プラセボ群で25.0%(104人中26人)、
ワクチン接種群で20.6%(63人中13人)だった。

丸山氏は、「これまで、無作為化比較試験では23価肺炎球菌ワクチンの高齢者での
肺炎発症予防効果は証明されていなかった。日本の高齢者施設入所者は約120万人いると言われているが、高齢者施設での研究は前例がなく、ワクチンの接種も進んでいないのが現状だ。今回の結果でワクチンの接種が進めば、肺炎の発症を予防し、
死亡率を減らせるだけでなく、医療費の大幅な削減も期待できる」と話しています。

予防接種ガイドラインによると、23価肺炎球菌ワクチンの接種の適応は、
摘脾を受けた2歳以上の患者さんと、65歳以上の高齢者が主な対象者です。
厚生労働省から再接種しても差し支えないが、過去5年以内に接種したことのある者が再接種を行う場合には再接種の必要性を慎重に考慮して、前回接種から十分な間隔を確保してから行う。とされています。

アメリカの高齢者の接種率は80%を超えているそうです!上の発表の記事にあるような効果があるのでしたら、健康であっても65歳以上の人は予防接種しておいた方がいいですね。
私も地域のみなさんの健康増進に、少しでも寄与できるように、ワクチン啓発に努めていきたいと思います。

ただ・・。金額的に8000円程度とインフルエンザワクチンより高価で、公費助成がないのも接種が増えない理由ですけど・・・・

これからも「帝塚山クリニック」のHPみてください。



 
ページトップへ
敷地内禁煙 院内での携帯電話禁止
〒631-0062 奈良県奈良市帝塚山1丁目1-33
TEL:0742-41-8833(往診可)  FAX:0742-49-5203
Copyright © Tezukayama clinic All Rights Reserved.