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肺炎球菌ワクチン、成人用と小児用の違いって!?

肺炎球菌ワクチン、成人用と小児用の違いって!? (2011年11月19日 土 23:11)|病気|

肺炎球菌ワクチンには、主に成人を対象とした23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン
(商品名ニューモバックスNP、製造販売元MSD)と、小児向けの7価肺炎球菌結合型
ワクチン(プレベナー、ファイザー)があります。

同じ肺炎球菌に対するワクチンなのに2種類も存在するとは、あな不思議。

ニューモバックスNPは2006年10月に承認された23価肺炎球菌ワクチンで、90種類以上ある肺炎球菌のうち、23種類の肺炎球菌の莢膜多糖体を抗原として接種するもの。免疫が未熟な乳幼児に単独で接種しても抗体がほとんど作られないため、2歳未満の乳幼児は適応外となっています。

以前は1回接種とされていましたが、09年10月からは、肺炎球菌感染症が重症化するリスクが高い者(65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ患者で初回接種から5年以上経過している者)に対する再接種が可能になりました。当院の患者さんにも、かなり混乱が見られるようで、よくよく質問を受けます。

 一方、小児向けのプレベナーは、09年10月に承認、10年2月に発売された。小児に対して特に重症感染症を起こしやすい7種類の血清型の肺炎球菌の莢膜多糖体を、無毒化したジフテリア毒素蛋白と結合させたワクチンです。この構造のために免疫原性が高く、乳幼児に対しても免疫ができやすい。

誤解を恐れず敢えてシンプルに言えば、ニューモバックスは成人用で、プレベナーは子供用。そして、小児向けのプレベナーの方が、免疫が獲得されやすい。

そこでクエスチョン。

では小児用のプレベナーを成人に使用してはいけないのか。よくよく考えなくてはならないのは、日本のワクチン行政は世界的に見れば、かなりマイナー路線を走ってきたということ。絶えず疑わなくてはなりません。最近の話題で言えば、不活化ポリオワクチンだってそうだ。“任意接種”なんていい加減な制度を作り、国としてのワクチン行政の存在しないこの国。

私の子供は、任意かつ助成なしで、不活化ポリオワクチンを接種する予定です。大げさかもしれませんが、医師としての立場からこの国の行く末を憂います。

成人用は23種類の肺炎球菌、小児用は7種類なのだから、ニューモバックスの方がお得じゃない!というのは貧乏性でしょうか。

これに対する、世界の動きをご紹介しておきます。(以下、Medical Tribune)

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は9月22日,小児用肺炎球菌13価結合型ワクチン(商品名Prevenar13)の接種対象を50歳以上の成人にも拡大することを支持する意向を示した。日本や海外の一部の国では,小児の肺炎球菌ワクチンとして無毒性変異ジフテリア結合体を用いて免疫原性を高めた7価の結合型ワクチン(商品名プレベナー)が用いられているほか,主に高齢者の肺炎予防を目的とした23価の多糖体ワクチン(同ニューモバックスNP)が用いられている。

当院には高齢の患者さんも多く、成人にも13種類の肺炎球菌に効くワクチン(プレベナー13)が使用できるようになってほしいものです。当院の患者さんたちにも、世界標準の治療を提供したいと思いました。



 
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