内視鏡技術の発達した現在、”早期の食道・胃・大腸がん”であれば、内視鏡手術で完治してしまいます。ただし、あくまで“早期のみ”です。ある程度進行してから見つかった場合、外科的な開腹手術を行い、さらに転移が疑われるような場合には、抗がん剤の追加治療を行うことが一般的です。食道がんの場合には、さらに放射線治療という選択肢もあります。いずれにせよ、進行がんの治療というものは、患者さんにとっていろいろと負担のかかるものです。
注意しないといけないことは、「便潜血が陽性で大腸がんが見つかる人は、かなり進行した大腸がんであることがほとんど」ということです。ほとんどの大腸ポリープや早期大腸がんでは、便潜血は陽性にはなりません。大腸がんがかなり進行して初めて「便潜血陽性」となることが多いので、注意が必要です。便潜血検査が「陰性」だからと言って「大腸がんがない」とか「大腸ポリープがない」とは決して決して言えないので、注意していただきたいと思います。
当院でも、奈良市の大腸がん検診を行っています。今年も多数の患者さんが受けています。陽性が出た場合には、大腸カメラは当院では行っていませんが、患者さんに病院紹介という形で積極的にすすめています。
先日も便潜血陽性がでて、病院を紹介しました。大腸内視鏡を受けていただいたところ、進行したがんもなく、ホッとされていました。「陽性です」と言ったときの患者さんの表情を思い出すと申し訳ない気持ちでしたが、結果的には異常もなく、私も晴れ晴れした気分でした。しかし、この逆のパターンもあるわけです。
早期の消化器がんを見つけるには、現在の医療レベルでは内視鏡を受けることが一番と考えます。当院でも、経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)を開始しました。地域のみなさまの健康増進に寄与できればと思います。