ロタウイルス胃腸炎は、ロタウイルスによって起こる乳幼児の急性胃腸炎です。日本では、5歳までにほぼ100%の子どもが感染すると言われており、発症しやすい年齢は、生後4か月~3歳とされています。ほぼ100%というのは驚きの数字です。私の娘はもうすぐ4歳になりますが、はっきりとロタウイルスを疑うような症状は出たことはありません。しかし、軽症で知らぬ間に終わってしまっているのかもしれません。
ロタウイルスは低い温度や湿度を好むため、日本では毎年1~3月に流行がみられます。“冬の胃腸のカゼ”というわけです。
主な症状は「激しい下痢やおう吐」「発熱」などで、特に白色の下痢便が続くのが特徴です。発熱は通常38℃以上の高熱で、これらの症状が3~7日続きます。大人では症状が現われても軽い場合がほとんどですが、高齢者や持病のある人の場合は重症化することもあるので注意が必要です。
夜中に症状が現われても、翌日の診療時間内に受診すればよいことがほとんどですが、「脱水症状を起こした」「急にぐったりした」「けいれんがある」などの場合はすぐに受診してください。
病院で処方されるのは、吐き気止めや解熱剤など症状を抑える薬が中心です。下痢には体内のウイルスを排出する役割があるので、下痢止めは処方されません。ロタウイルス胃腸炎では、激しい下痢やおう吐を1日に何度も繰り返し、脱水症状を起こすことがあります。予防するためには水分をこまめに補うことが大切です。母乳やミルクはいつも通り飲ませ、乳幼児用のイオン飲料などで電解質を補うようにしましょう。当院は小児科専門ではないので、成人の患者さんが来られた場合には、「ぬるーいスポーツ飲料を、おちょこで少しずつ飲むようにしてください」と説明しています。
おむつや吐いた物などは使い捨て手袋をはめて処理し、ポリ袋に入れすぐに捨てます。おう吐・下痢で汚れた衣類・布団・おもちゃなどは、熱湯か塩素系漂白剤の希釈液でウイルスを除き、可能なものは洗濯します。吐いた物の処理のあとなどには、せっけんを使って丁寧に手を洗いましょう。ロタウイルスは感染力が強いため、生活環境からウイルスをできるだけ減らすことが大切です。
ロタウイルス胃腸炎の予防に有効なワクチンが、日本では2011年から接種できるようになりました。経口型の生ワクチンで、4週間以上の間隔をおいて2回飲みます。生後6週間から接種可能で、2回の接種を生後6か月までに終わらせることがより良いとされています。最長でも24か月以内に済ませるべきと思います。理由は、年齢の低い子供ほど免疫力が弱く、その期間こそワクチンで守ってあげないといけないからです。
ちなみに、私の下の子供は0歳で、ワクチンを予定しています。ワクチンの優先度もあり、なかなかbusyなスケジュールですが、できるだけ早いうちに済ませます。というのも冬に接種しないと意義は低いですから。一方、上の子供(もうすぐ4歳)は、「もういいかな・・・。値段高いし・・。かかってもまず大丈夫だろう」という感覚です。上の子供は、仮に感染したとしても、重症化する可能性は低いからです。やはり物事には、優先順位というものがあります。
しかし、昨年こどもがRSウイルス感染で入院し、付添のため家族も大変でした。病気自体は、結果的に幸いにも軽症で済みました。このとき私はワクチンの別の効果を痛切に感じさせられました、「予防できるものはそれに越したことはない。子供が病気にかかると、仮に軽症であってもいろいろな意味で家族にも負担がかかってしまう」と。
任意接種で費用は2回で3万円前後(医療機関で異なる)です。副反応として「下痢」「せきと鼻水」などがまれに起こると報告されています。免疫不全の病気や慢性的な消化器疾患がある場合、腸重積を起こしたことがある場合などは注意が必要です。