日本人が発症するがんの中で、男女合わせた患者数が最も多いのは「胃がん」です。ご存知の方も多いと思います。当院周辺の方は、とても健康管理に熱心で、知識も豊富な方も多い。
話がそれそうなので、戻します。胃がんの発生にかかわる危険因子では、「ピロリ菌」「塩分のとりすぎなどの食生活」「喫煙」「加齢」が代表的です。これらの危険因子が重なると、胃がんが発生する可能性が高まると考えられています。
早期の胃がんでは、症状が現れないことが多いので、早期発見には検査が欠かせません。40歳を過ぎると、胃がんの発症率は高くなっていきます。40歳になったら胃がんの検査を受けることを勧めています。ちなみに、私は若干40歳前にして、口からの胃カメラを4回受けています(内3回は、研修医の練習)。
胃がんを発見するための検査では、「エックス線造影検査」や「内視鏡検査」などが行われます。検診では、前者のエックス線検査の方が一般的かもしれません。しかし、“早期発見”につながるかというと、かなり疑問があります。仙人レベルのエックス線画像読影能力がないと、早期の胃がんは発見できないでしょう。ブログという性質上、あまり不確実なことは言えませんが、これは私自身も両方の検査を施行していた立場にあるものとしての意見です。
がんが胃の粘膜にとどまっているような早期の段階で発見できれば、「内視鏡治療」を受けることが可能です。内視鏡治療とは、内視鏡を使って、胃の粘膜のがん化している部分をはがし取る方法です。この方法では、おなかを大きく切らないで行われるため、患者さんの体への負担が少なく、入院も比較的短い期間で済みます。外科的に開腹をして手術を受けるより、はるかに体への負担も少なく、経済的にも有利です。