先日のブログで、早期胃がんの発見には内視鏡検査が有用とお話ししました。内視鏡検査、いわゆる胃カメラについて、もう少しお話しましょう。
内視鏡(胃カメラ)検査では、約1cmの太さのチューブの先にカメラなどがついた「内視鏡」を、口や鼻から胃の中に入れて胃の内部を見ます。当院にも導入している経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)は、直径5.9mmです。胃の粘膜を直接見ることで、粘膜の色の変化や状態から、場合によっては3mm程度の小さながんでも発見できるとされています。がんのある場所やがんの大きさだけでなく、およその深さも推測でき、治療方針の決定に重要な意味を持ちます。
内視鏡検査では、がんが疑われる場合、その組織(胃粘膜)の一部を採って、顕微鏡で詳しく調べる「生検」が行われます。これはレントゲンや超音波にはない、“胃カメラの強み”と言えるでしょう。顕微鏡での診断の精度は、ほかの検査の比ではありません。生検ではがんかどうかがわかると同時に、がんが「分化型(悪性度が低いと考えてよいでしょう)」か「未分化型(悪性度が高い)」かという、がんの種類もわかります。
「がんならどれも同じじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、同じ胃がんでも、悪性度の高いものから低いものまで含まれています。悪性度が高い場合には、発見時は小さながんであっても、体にすでに転移している可能性も高まるわけです。おのずと治療方針も変わってくるわけです。胃がんという診断に加えて、悪性度やがんの広がりも推測できるのが胃カメラの強みと言えるでしょう。