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血中NT-proBNP値を用いた心不全診療

血中NT-proBNP値を用いた心不全診療 (2013年06月22日 土 18:32)|病気|

以下は日本心不全学会からのステートメントです。

 

日本心不全学会は5月8日までに、血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点をまとめ、ステートメントとして公表した。心不全の早期診断における血中BNPおよびNT-proBNP値の閾値を提示し、BNP値に相当するNT-proBNP値については、「BNP 40pg/mLに対してはNT-proBNP
125pg/mL、BNP 200pg/mLに対してはNT-proBNP 900pg/mL」と提案した。

 

ステートメントでは、「BNPやNT-proBNPは、心不全診療を支える補助診断法として広く浸透してきた」との認識を示しつつ、「測定する機会が増えるほど、得られた血中濃度をどのように理解し、心不全医療に還元すればよいのか戸惑うことも多くなった」と臨床現場が直面する課題を指摘した。このため、「BNPやNT-proBNP値を心不全診療に適切に反映していく」ことを目的にステートメントを作成したと説明している。

まず、BNPとNT-proBNPについて、基本構造、生成・分泌の過程、それぞれの血中濃度に影響を与える因子などを解説した。その上で、心不全診断へのカットオフ値を示した。 この段階で、BNP値に相当するNT-proBNP値については、「現段階ではコンセンサスが得られていない」とし、今回のステートメントでは「BNP 40pg/mLに対してはNT-proBNP
125pg/mL、BNP 200pg/mLに対してはNT-proBNP 900pg/mLとする」と提案した。その上で、「BNPやNT-proBNPを用いた心不全管理について」の項目を設け、「基本的に、BNPやNT-proBNP値をある数値以下に維持しなければいけないという絶対的な目標値はない。実臨床では個々の症例に最適なBNP値やNT-proBNP値を見つけ、その値を維持する包括的な疾病管理、つまり、生活習慣の是正(断煙、断酒、減塩、食事や運動の適正化など)と適切な薬物治療が重要である」などと強調した。

 

最後に、「BNPやNT-proBNPは有力な心不全のバイオマーカーであり、心不全診療の補助手段としてはとても有力」とまとめ、「BNPやNT-proBNPだけに基づいた心不全診断や疾病管理はありえない。症状をよく聴き、徴候をよくみて、他の検査と合わせて総合的に判断を下すことが大事」と結んでいる。(以上、日経メディカルより)

 

 

心不全診断の補助的として、血中BNPやNT-proBNP値の測定は当院でも行っています。当院のような診療所では非常に有益です。診察や心臓超音波検査なども行うのですが、患者さんにとってはその結果を理解しにくいものです。その点、血液検査の場合、はっきりとした数値となって表現されます。「この数値が高い場合には、心臓に負担がかかっていることがあるのですよ」と説明しています。

 

しかし、具体的にどれだけ上昇すれば、どれだけのリスクがあるのかについては統一見解がなかったので、学会からのステートメントの作成があると助かります。ただし、それでも難しいことはあります。注意が必要なのは、上記のカットオフの値はあくまで腎機能が正常、もしくは軽度障害の人の場合で、慢性・末期腎不全の場合は数値が上昇傾向にあるのです。「この患者さん、心臓悪いかな?」と疑って検査をするわけですが、一般的に心臓を悪くされている方は腎臓も悪い傾向にあります。つまり、BNPが高めに表現されてしまうことが多いのです。検査値の結果がすこし高い程度では、必ずしも心臓が悪いとは言えないのです。患者さんの症状、診察の結果と合わせて判断する必要があるのです。



 
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