〒631-0062 奈良県奈良市帝塚山1丁目1-33 TEL:0742-41-8833

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医療現場でNSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)と呼んでいるお薬は、その名の通りでステロイドではない抗炎症薬「非ステロイド性抗炎症薬」で、疼痛、発熱、炎症の治療に用いられています。非常に高頻度で使用されている割には、その危険については患者さんの間ではあまり認識されていない印象を持ちます。カゼ引きの際の熱さまし、頭痛の際の痛み止めなど、処方しない日はないと思います。当院は内科ですので、高齢の患者さんが多いのは当然のこと。やはり注意すべき点があります。

さまざまな副反応を起こす可能性があるわけですが、その中で一つご紹介。慢性腎臓病(医療従事者の間ではCKDと呼んでいます)の患者さんへの「痛み止め」の常用は、腎機能障害増悪に拍車をかけます。慢性腎臓病CKD患者さんに望ましい消炎鎮痛薬はあるのでしょうか。解熱鎮痛作用はあるが消炎作用はない厳密に言うとNSAIDsでない「アセトアミノフェン」 (カロナール等)が望ましいとされています。

疼痛ナビにて「CKD患者への消炎鎮痛薬適正使用についてのポイント」を示しています。整形外科では、必要不可欠なお薬NSAIDsですが、アセトアミノフェンには、NSAIDsにはない利点も指摘しています。

変形性関節症や腰痛症は、高齢者に多くみられる疾患であり、NSAIDs投与が行なわれますが、加齢に伴って腎機能は低下していくため、急性腎障害を起こしやすい状態となります。

 

高齢の患者さんで特に慢性腎臓病CKDを指摘されている方は、消炎鎮痛剤(痛み止め)の服用については、可能な限り頓服での内服をお勧めしています。また、症状の程度によっては、可能な限りアセトアミノフェンを使用しています。 困ったことがあります。一般的に、NSAIDsの方がアセトアミノフェンよりも症状を軽減する効果が高いのです。これは日本でのアセトアミノフェン使用量の問題もありますが、お上の決めた添付文書というものもあるため、なかなかその使用量を超えて使用するにはハードルが高いのです。

NSAIDsの内服経験があり、しっかりと痛みを抑えてくれたとしましょう。患者さんの頭のなかでは、これはある種の成功体験として頭にインプットされます。この成功体験を医師の説明で覆すのはなかなか至難の業です。しかし、薬剤の適正使用に向けて、微力ながら頑張っていきます。

 

減塩は尿蛋白あるいはアルブミン尿を減少させるという複数の報告があります。減塩による尿蛋白/アルブミン尿の改善効果は降圧を伴うことも報告されています。食塩の過剰摂取は腎糸球体の過剰な濾過を惹起することが高血圧患者のみならず正常人にも示されており、減塩は過剰な濾過を改善することによって尿蛋白/アルブミン尿を抑制しているという機序が考えられます。

一方、ACE阻害薬治療中の非糖尿病性慢性腎臓病患者を対象にした観察研究では、食塩摂取量の増加に伴い尿蛋白/クレアチニン(P/C比)が増加し、かつ、末期腎臓病の発症が増加することが報告されています。私の外来でも、「薄味でね!」と声かえをするようにしています。

減塩に関する世界の動きでは、2003年に発表された世界保健機関/食糧農業機関(WHO/FAO)の食事、栄養と慢性疾患のレポートでは、血圧低下のためには食塩摂取量を5g未満にすべきとしています。2007年の欧州高血圧学会-欧州心臓病学会(ESH-ESC)は、食塩3.8g/日が理想とし、現実的な目標値として食塩5g/日未満を設定しています。日本人の食塩摂取量は国際的にみると高く、治療目標値も高めの設定となります。

高血圧治療は、日常の食生活の中でまず塩分摂取量を5g/日未満を目標とする指導が基本ですが、実際にはいきなりは実現不可能ですので、10g未満を最初の目標としてはどうでしょうか。私も含め、ほとんどの日本人は、塩分10g/日以上の味付けに慣れています。5g未満をいきなり実践したとすれば、それはそれで素晴らしいことではありますが、相当な食事に対する我慢を強いられることでしょう。つまり、“塩気のない食事”は美味しくないのです。

最近の猛暑のため報道でも、塩分含有の飲料水を勧めています。しかし、高血圧をはじめ生活習慣病患者さんすべてに当てはまるわけではありません。

以下は日本心不全学会からのステートメントです。

 

日本心不全学会は5月8日までに、血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点をまとめ、ステートメントとして公表した。心不全の早期診断における血中BNPおよびNT-proBNP値の閾値を提示し、BNP値に相当するNT-proBNP値については、「BNP 40pg/mLに対してはNT-proBNP
125pg/mL、BNP 200pg/mLに対してはNT-proBNP 900pg/mL」と提案した。

 

ステートメントでは、「BNPやNT-proBNPは、心不全診療を支える補助診断法として広く浸透してきた」との認識を示しつつ、「測定する機会が増えるほど、得られた血中濃度をどのように理解し、心不全医療に還元すればよいのか戸惑うことも多くなった」と臨床現場が直面する課題を指摘した。このため、「BNPやNT-proBNP値を心不全診療に適切に反映していく」ことを目的にステートメントを作成したと説明している。

まず、BNPとNT-proBNPについて、基本構造、生成・分泌の過程、それぞれの血中濃度に影響を与える因子などを解説した。その上で、心不全診断へのカットオフ値を示した。 この段階で、BNP値に相当するNT-proBNP値については、「現段階ではコンセンサスが得られていない」とし、今回のステートメントでは「BNP 40pg/mLに対してはNT-proBNP
125pg/mL、BNP 200pg/mLに対してはNT-proBNP 900pg/mLとする」と提案した。その上で、「BNPやNT-proBNPを用いた心不全管理について」の項目を設け、「基本的に、BNPやNT-proBNP値をある数値以下に維持しなければいけないという絶対的な目標値はない。実臨床では個々の症例に最適なBNP値やNT-proBNP値を見つけ、その値を維持する包括的な疾病管理、つまり、生活習慣の是正(断煙、断酒、減塩、食事や運動の適正化など)と適切な薬物治療が重要である」などと強調した。

 

最後に、「BNPやNT-proBNPは有力な心不全のバイオマーカーであり、心不全診療の補助手段としてはとても有力」とまとめ、「BNPやNT-proBNPだけに基づいた心不全診断や疾病管理はありえない。症状をよく聴き、徴候をよくみて、他の検査と合わせて総合的に判断を下すことが大事」と結んでいる。(以上、日経メディカルより)

 

 

心不全診断の補助的として、血中BNPやNT-proBNP値の測定は当院でも行っています。当院のような診療所では非常に有益です。診察や心臓超音波検査なども行うのですが、患者さんにとってはその結果を理解しにくいものです。その点、血液検査の場合、はっきりとした数値となって表現されます。「この数値が高い場合には、心臓に負担がかかっていることがあるのですよ」と説明しています。

 

しかし、具体的にどれだけ上昇すれば、どれだけのリスクがあるのかについては統一見解がなかったので、学会からのステートメントの作成があると助かります。ただし、それでも難しいことはあります。注意が必要なのは、上記のカットオフの値はあくまで腎機能が正常、もしくは軽度障害の人の場合で、慢性・末期腎不全の場合は数値が上昇傾向にあるのです。「この患者さん、心臓悪いかな?」と疑って検査をするわけですが、一般的に心臓を悪くされている方は腎臓も悪い傾向にあります。つまり、BNPが高めに表現されてしまうことが多いのです。検査値の結果がすこし高い程度では、必ずしも心臓が悪いとは言えないのです。患者さんの症状、診察の結果と合わせて判断する必要があるのです。

TVニュース・奈良市HPで、奈良市が成人への風疹ワクチン接種費用の一部を負担すると発表しています。1週間前のことです。医療従事者の感覚としては、「やっとか」という感じがします。しかし行政には行政の理由もあるのでしょう。発表があってからすでに1週間が過ぎていますが、当院にはほとんど問い合わせもなく・・。あんなにマスコミでも取り上げられていたのに・・。マスコミを操作するのは問題があるかと思いますが、確かにマスコミの力は絶大です。ぜひともマスコミの方にも今一度協力願いたいものです、人道的な見地から。マスコミ報道と行政との歩調が合っておらず、いまのままでは折角の助成金制度も無駄になってしいます。

いままでもブログで書いてきましたが、改めて重要性を分かっていただきたいと思います。風疹は妊娠初期の妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんが難聴や心疾患などの障害を持つ可能性があります。

期間:平成25年5月24日~10月31日

対象:平成7年4月1日以前に生まれ、次のいずれかに該当する方(接種時点で奈良市に住民登録していること)

○妊娠を予定または希望している女性

○妊娠を予定又は希望している女性の夫

○妊娠している女性の夫

接種時点で奈良市に住民登録のあることが前提です。

実施方法:市内の医療機関で、自己負担3,000円で予防接種が受けられます。(通常は約9000円程度)なお、既に4月1日以降、接種を受けられた方は上限を設け還付されます。夫も含むというのは、奈良市も頑張ったと思います。

ただし、風疹単独ワクチンは、関東地方でほとんど使用されていて、クリニックには取り寄せできなくなりました。そのため多くの病医院では、MRワクチン(はしか、風疹混合ワクチン)を接種するしかありません。

マスコミのような力はちっともないものの、少しでも地域の方々の医療に貢献したいと思いながら土曜の午後にブログを書く、音川でした。

この後庭の草むしりしよっと、今日は雲だし。

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