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昨今の円高も手伝ってか、日本から海外旅行に出かける方が増えています。さらに、長期・短期的海外駐在者の数も増加しています。 その旅先で、下痢をしたり、マラリアにかかったりして、せっかくの旅行が苦い思い出になるのは残念なことです。下痢やマラリアだけでなく、ほかの国に行くときにかかり易い病気の、予防と治療に関する学問として旅行医学が誕生しました。 「旅行」と「医学」の双方から思い浮かべるのは、熱帯医学、寄生虫病学などかも知れません。しかし、日本渡航者の死因の原因は、1位 心臓血管にともなう病気、2位 脳血管障害、3位 自殺なのです。狂犬病が原因で、日本国内で亡くなっているのは、ここ数十年で2人のみです。マラリアも耐性の問題はあるものの、日本国内でも十分治療が可能です。以外に思われたかもしれませんが、実は渡航先での死因は、まれな風土病ではなく、国内でも一般的に見られる疾患なのです。 国内であれば、お薬手帳や紹介状など、自分の病気を緊急に伝える手段は多くあります。しかし、海外でどれほどの方が、ご自分のご病気、お薬を説明できるでしょうか。たとえば、高血圧で有名な「アムロジン」というお薬。当クリニックでも内服している方は多いと思われます。海外では、自分の内服薬を「アムロジン」と説明しても、医師も看護師も理解はしてくれません。なぜならアムロジンは一般名であり、薬の成分名ではないからです。国内では簡単にできることが、海外では容易ではないのです。 旅行医学は、海外に行かれるまえに、事前に書類を作成する、必要な事前検査を勧めるなどして、できる限り皆様の旅を有意義なものにするサポートをする学問といえます。 もちろん、衛生状態の悪い地域に行かれる場合にも、ワクチン接種や水分摂取方法の理解など、旅行医学の守備範囲は多岐にわたります。渡航先を事前にお知らせいただければ、日本国内という制限はあるものの、できる限りのより良い準備をするお手伝いをいたします。ぜひご相談いただければと思います。

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